太陽光発電で電気代はどう変わる?高騰が止まらない電気代対策
電気代の高騰が続く中、太陽光発電が注目を集めています。自宅で発電した電力を使うことで、電力会社からの購入量を減らし、電気代の節約につながります。さらに、余った電力を売電することで追加収入も得られるため、家計への負担を軽減できるのです。電気代の上昇が予測される中、太陽光発電を導入することで、将来的なコストを抑える効果が期待されます。
目次
電気代高騰が止まらない!高騰が続く理由と見通し
近年、電気代の高騰が続いており、多くの家庭や企業がその影響を受けています。エネルギー価格の上昇や需給バランスの乱れ、地政学的リスクなど、電気代が上がり続ける背景にはさまざまな要因が絡んでいます。
◇電気代が高騰し続ける理由
2022年以降、日本の電気代は急速に上昇しています。まず、電気代の高騰にはいくつかの要因が絡んでいますが、そのひとつが燃料費の高騰です。日本は電力供給の多くを火力発電に依存しており、液化天然ガスや石油などの燃料を海外から輸入しています。
ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、燃料価格が世界的に上昇したことが直接的な原因となりました。さらに、円安による輸入コストの増加も重なり、電力会社はコストを転嫁せざるを得ない状況に追い込まれています。また、再生可能エネルギー発電促進賦課金も電気代高騰の一因です。
太陽光発電や風力発電の普及を促進するため、国は再生可能エネルギーの買い取りを電力会社に義務付けており、その費用が「再エネ賦課金」として電気代に加算されています。この賦課金は年々上昇しており、2024年度はさらに高騰が予想されています。
加えて、2024年4月に電気料金の一部を緩和する政府の補助金が終了することも、電気代の上昇をさらに加速させる要因となります。
◇今後の見通し
今後の電気代は、引き続き高騰する可能性が高いと予想されています。まず、再生可能エネルギーの普及促進は引き続き国の政策の柱となっており、賦課金の増加は避けられない状況です。
また、燃料費に依存する火力発電から脱却するための政策が進められてはいるものの、再エネだけで安定供給を確保するには限界があり、再エネ導入によるコスト上昇が影響することが見込まれます。
さらに、世界的なエネルギー需給の逼迫も電気代上昇の背景にあります。特にウクライナ情勢の解決が見えない中で、燃料価格の安定は期待できず、日本は引き続き高コストの燃料を輸入することになります。
また、日本国内でも原子力発電の再稼働が進まないことや、老朽化した火力発電所の運用コストが増加している点も、電気代の上昇を抑える要因にはならないでしょう。今後も、電気代がしばらく高止まり、もしくはさらなる値上がりが続くと予測されているため、家庭や企業の電力コストは一層の負担となることが予想されます。
太陽光発電で電気代はどう変わる?
画像出典:フォトAC
太陽光発電は、自宅で電気を自給できるため、電気代の節約に大きく貢献します。ここでは、電気代が抑えられる仕組みや太陽光発電で賄える電気代の目安について詳しく解説します。
◇太陽光発電で電気代が安くなる仕組み
太陽光発電は、家庭で消費する電力の一部または全てを自ら発電できる点が特徴です。岐阜県のような日照時間が比較的長い地域では、効率的に発電が可能です。発電した電気は直接自宅で使用でき、その分電力会社から電気を購入する量が減るため、電気代の削減が期待できます。
具体的には、太陽光発電システムによって昼間に発電した電力を、照明や家電などに活用することで電力消費量が抑えられます。さらに、余剰電力を売電することで追加収入を得ることもでき、この収入が電気代の一部をカバーします。
また、電力消費のピークを迎える時間帯の電力を購入する際に、電気料金単価が上がる従量料金制度を採用している場合も多いです。太陽光発電を導入することで、購入する電力が減少し、料金単価の高い時間帯に電気を買う必要がなくなるため、電気代のさらなる削減が可能となります。
◇太陽光発電で賄える電気代の目安
太陽光発電による電気代の削減効果は、家の規模や電力消費量、設置するシステム容量などによって異なりますが、一般的には年間の電気代を大幅に減らすことが可能です。たとえば、岐阜県内で平均的な5kWの太陽光発電システムを導入した場合、年間でおおよそ6,000kWhの電力を発電できるとされています。
このうち、約30%が自家消費に回ると考えると、年間1,800kWh分の電気代を削減できる計算です。電気料金単価を31円/kWhとすると、年間約55,800円の電気代が削減されることになります。
さらに、蓄電池を組み合わせることで、発電した電気を効率的に使い、夜間や天候の悪い日でも電力会社からの購入を抑えることができます。
これにより、自家消費率が高まり、さらに電気代の削減効果が期待できます。また、余剰電力を売電することで、年間の売電収入を上乗せすると、全体の電気代を実質ゼロに近づけることも可能です。
太陽光発電の節電効果をケース別に紹介
太陽光発電の節電効果は使用状況や設置条件によって異なります。日中の電力消費が多い家庭や、蓄電池を併用して夜間の電力使用を補うケースなど、それぞれのケースで異なる節約効果が期待できます。
◇日射量の違い
太陽光発電の効果は、地域ごとの日射量によって大きく変わります。たとえば、札幌市在住の夫婦2人暮らしの場合、年間の日射量が比較的少ないため、発電量も抑えられます。
この場合、4kWの太陽光発電システムを設置した場合、年間約4,600kWhの発電が期待され、自家消費率を3割とした場合、年間の電気代削減額は約42,780円になります。
一方、鹿児島県在住の夫婦と子ども2人の場合、日射量が豊富で、年間約6,535kWhの発電が見込まれます。これにより、電気代の削減額は年間約60,775円と、大幅に差が出ます。このように、地域ごとの日射量が電気代削減効果に大きく影響します。
◇日中の使用電気量による違い
次に、家庭の電気使用パターンも大きな影響を与えます。たとえば、共働きで日中はほとんど家にいない夫婦2人暮らしの場合、発電された電気を消費する機会が少ないため、売電がメインとなり、自家消費による電気代削減効果は低くなります。
逆に、日中も在宅することが多い3人家族の場合、発電した電気をその場で使用できるため、自家消費率が高くなります。これにより、電気代削減効果が大きくなり、たとえば、日中も電気を使う家庭では、月々の電気代を約半分に抑えることが可能です。
◇設備の違い
さらに、家庭が使用する設備によっても電気代削減効果は異なります。たとえば、オール電化を採用している4人家族で、日中も空調を付けている場合、太陽光発電だけでなく、蓄電池を併用することで、発電した電気を夜間にも使うことができます。
この場合、自家消費率を高めることができ、電気代の削減効果はさらに大きくなります。蓄電池を使うことで、天気が悪い日や夜間でも、発電した電気を活用できるため、オール電化家庭では非常に有効です。
このように、太陽光発電と蓄電池を組み合わせた設備導入によって、電気代削減の効果を最大限に引き出すことができます。
節電効果を上げるなら蓄電池やオール電化も検討しよう
太陽光発電の節電効果をさらに高めるには、蓄電池やオール電化の導入がおすすめです。蓄電池を使えば、昼間に発電した電力を夜間にも活用でき、無駄を減らせます。オール電化はガス代を削減し、エネルギー管理の効率化に役立ちます。
◇太陽光発電だけで電気代ゼロは難しい
太陽光発電を導入することで、電気代を大幅に削減できることは多くのデータで示されていますが、完全にゼロにするのは困難です。理由は、太陽光発電は昼間しか発電できないため、夜間や天気の悪い日は電力会社から電気を購入する必要があるからです。
加えて、家庭の電力消費が発電量を超える場合、その差を電力会社から補うため、電気代が完全になくなることはありません。しかし、蓄電池を導入することで、昼間の余剰電力を蓄え、夜間や天候不順の際に使用することで、電気代をゼロに近づけることが可能になります。
岐阜県のように日照時間が安定している地域では、蓄電池と太陽光発電の組み合わせが特に効果的で、電気代のさらなる削減が期待できるでしょう。
◇オール電化で更なる電気代節約
オール電化とは、家庭内のすべてのエネルギーを電力で賄う仕組みです。例えば、ガスコンロをIHクッキングヒーターに、ガス給湯器をエコキュートにするなど、電気を使うことで光熱費全体を抑えることができます。
これに太陽光発電を組み合わせることで、発電した電気を自宅内で最大限活用でき、電気代の削減効果が一層強まります。特に、岐阜県のような四季の変化がはっきりしている地域では、エコキュートの効率的な運用と組み合わせることで、冬の暖房費や給湯費も削減できる可能性があります。
また、オール電化住宅の場合、電力会社が提供するオール電化専用の割引プランを利用することができます。このプランにより、通常よりも安い電気料金で電力を使用できるため、太陽光発電と合わせることで、家庭全体の光熱費を大幅に削減することが可能です。
したがって、太陽光発電と蓄電池、そしてオール電化の組み合わせは、電気代削減の最適な方法のひとつといえるでしょう。
近年、電気代の高騰が続いており、エネルギー価格の上昇や地政学的リスクが主な原因となっています。特に燃料費の高騰や再生可能エネルギー発電促進賦課金が影響しています。今後も電気代は高止まりし、さらなる値上がりが予想されます。
この問題に対する対策として、太陽光発電が注目されています。自家発電により電力会社からの購入量が減り、余剰電力の売電による収入も期待できます。
さらに、蓄電池やオール電化を併用することで、昼夜問わず電力を効率的に利用でき、電気代の大幅削減が可能です。家庭の光熱費全体を抑えるためには、これらの技術を導入することが最適な方法です。