太陽光発電を導入するメリット・デメリットとは?
太陽光発電システムは、パネル、パワーコンディショナー、接続箱、分電盤、モニターで構成され、パネルで発電した直流電力を交流電力に変換し、住宅に供給します。太陽光発電はカーボンニュートラルの実現に貢献し、温室効果ガスを排出せず環境保全に役立ちます。
導入のメリットには、電気代の削減や余剰電力の売却、停電時の電力供給があります。一方、初期費用が高く、発電量は天候により変動し、メンテナンスにも費用がかかります。
目次
太陽光発電とは?
太陽光発電は、太陽の光エネルギーを電気エネルギーに変換して発電するシステムです。こちらでは、岐阜県で太陽光発電の導入をご検討中の方のために、太陽光発電の仕組みをご説明いたします。
◇太陽光発電の仕組み
太陽光発電で大きな役割を果たすのが、太陽電池をたくさん集めたソーラーパネルです。太陽電池とは、太陽光の光エネルギーを電気に変換する発電機のことで、電気を蓄える一般的な電池とは異なります。
太陽電池は、n型半導体とp型半導体という2種類の半導体を貼り合わせて作られているものです。ソーラーパネルに太陽光が照射されると、n型半導体にはマイナスの電気を帯びた電子、p型半導体にはプラスの電気を帯びた正孔が集まり、プラス極とマイナス極が形成されます。
すると、電子が導線を伝わってマイナス極からプラス極へ移動し、電気の流れが生じます。これが、太陽光発電で電気が発電する仕組みです。
◇発電から供給までの流れ
太陽光発電は、太陽光パネル、パワーコンディショナー、接続箱、分電盤、モニターなどで構成されています。発電から供給までの流れは次のとおりです。
太陽光パネルは光を吸収し、その光エネルギーを使って直流電力(DC)を発電します。各パネルから流れてきた直流電力をひとつにまとめるのが接続箱です。接続箱でまとめられた直流電力は、パワーコンディショナーで交流電力に変換されます。
その後、分電盤を通して各部屋のコンセントや住宅設備、蓄電池などへ供給されます。発電量などの情報は、専用のモニターで監視することが可能です。
太陽光発電が注目されている理由
太陽光発電が注目されている最大の理由は、カーボンニュートラルの実現にあります。カーボンニュートラルを実現させるためには、太陽光発電を含む再生可能エネルギーが不可欠だからです。
環境に優しく、事故や放射線被害のリスクが低いことも、太陽光発電への関心が高まっている理由といえるでしょう。
・カーボンニュートラルの実現
カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることです。カーボンニュートラルの実現には、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーが欠かせない要素となっています。その理由は、太陽光発電は温室効果ガスを排出せずに電気を生成できるからです。
また、国は2050年までのCO2排出ゼロを目指し中長期的な戦略として、「住宅×太陽光発電」の普及を促進しています。
・環境保全とリスク回避
日本の発電の約7割以上を占める火力発電は、温室効果ガスの排出による地球温暖化や火災事故のリスクがあります。原子力発電は、二酸化炭素の排出量が少なく環境に優しいと考えられていますが、事故や放射線被害のリスク、燃料の処理問題などあります。
火力発電と原子力発電と比較すると、太陽光発電は環境保全に役立ち、事故のリスクを回避できることも、注目されている理由のひとつです。
太陽光発電を導入するメリット
画像出典:フォトAC
太陽光発電を導入すると、電気代が節約でき余った電力を売却できるため、経済面でメリットがあります。自立運転機能で、停電時に電力を使えるのも利点です。
◇電気代の削減になる
太陽光発電で電力を生成することで、電力会社からの電気購入を減らせます。ただし、どんなに多くのパネルを設置しても、すべての電気代が完全にゼロにはできず、発電しない時間帯は電力会社からの電気購入が必要です。
◇電気を売却できる
発電した電気を売却し、収入を得られるのもメリットのひとつです。経済産業省の資料によれば、住宅用太陽光発電で作られる電気のうち、約3割が自家消費され約7割が売電に回されています。
◇停電時も安心
パワーコンディショナーの自立運転機能を利用すれば、停電時にも電気が使えます。災害時には停電になり、通常の電力供給が途絶えてしまう可能性があります。停電になると、スマートフォンや電話を使って情報収集や家族の安否確認ができなくなり、季節によっては熱中症、低体温症などになることもあるため注意が必要です。太陽光発電があれば、災害時も発電した電気を使用し快適に過ごせます。
太陽光発電を導入するデメリット
メリットの多い太陽光発電ですが、デメリットも存在します。具体的には、初期費用が高いことと、メンテナンスに費用がかかることです。天候によって発電量も変動するのもデメリットですが、年間を通してみれば発電量は比較的安定します。
◇初期費用が高い
太陽光発電を導入費用は年々安くなってはいますが、多くの場合100万円以上の設置費用がかかります。経済産業省資源エネルギー庁の資料によれば、現在の住宅用太陽光発電の相場価格と平均設置容量は以下のとおりです。
設置容量設置費用1kWあたりの価格
5.00kW142.0万円28.4万円/kW
※この数値は経済産業省の「調達価格等算定委員会」の資料から算出
発電した電力を売却すれば、初期投資を回収できます。それでも、導入する際にまとまった資金が必要なため、導入のハードルが高いことも事実です。
◇天候によって発電量が変わる
太陽光発電は、日射量に応じて発電量が決まるため、天候によって発電量が変動するのもデメリットです。特に、冬場は日照時間が短いため、他の季節に比べて発電量が少なくなります。しかし、一年中悪天候が続くことはほとんどないため、年間を通してみれば、発電量は比較的安定します。
◇メンテナンスが必須
太陽光発電はメンテナンスフリーといわれることもありますが、実際にはメンテナンスが必要なため、ランニングコストが発生します。具体的な費用は、経済産業省が推奨している4年に一度の定期点検費用と、パワーコンディショナーの交換費用です。
太陽光発電システムを20年間設置し、定期点検を行い、パワーコンディショナーを一度交換する場合、ランニングコストは約30万円になります。
まとめ
太陽光発電システムは、太陽光パネル、パワーコンディショナー、接続箱、分電盤、モニターなどで構成されます。パネルで発電された直流電力は接続箱で集められ、パワーコンディショナーで交流電力に変換され、分電盤を通じて住宅に供給されます。発電量はモニターで確認できます。
太陽光発電が注目される理由は、カーボンニュートラルの実現に貢献するからです。温室効果ガスを排出せずに電気を生成できるため、再生可能エネルギーとして環境保全に役立ち、事故や放射線のリスクが低い点も評価されています。国は2050年までにCO2排出ゼロを目指しており、住宅における太陽光発電の普及を推進しています。
導入のメリットには、電気代の削減や余剰電力の売却が挙げられます。発電した電力を売ることで収入を得ることができ、停電時にも自立運転機能により電力を使用できる点も安心です。発電した電力の約3割が自家消費され、約7割が売電に回されているというデータもあります。
しかし、デメリットも存在します。初期費用が高く、設置には通常100万円以上の費用がかかります。また、天候によって発電量が変動し、特に冬場は発電量が少なくなることがあります。さらに、メンテナンスが必要であり、定期的な点検やパワーコンディショナーの交換に費用がかかります。20年間の使用でランニングコストは約30万円になるとされています。