太陽光発電はメンテナンスが必須!チェックリストで日常点検
太陽光発電設備のメンテナンスは法的義務で、安全性や収益性を保つため重要です。適切な点検で異常を早期発見し、修繕費や発電効率低下を抑えられます。感電や高所作業のリスクがあり、安全確保には専門業者の依頼が推奨されます。
目次
太陽光発電はメンテナンスが義務!保守点検との違いは?
太陽光発電設備のメンテナンスが義務化され、適切な保守点検が求められるようになりました。これにより、設備の安全性と信頼性が向上しました。
◇メンテナンスが義務化
2017年4月に施行された改正FIT法により、住宅用を含むほとんどの太陽光発電設備にメンテナンスの義務が課されました。この改正は、適切な保守点検を怠った結果、異常発見の遅れや設備の破損が第三者に被害を与える事例が増加したことを受けたものです。
FIT法(固定価格買取制度)は、再生可能エネルギーの普及を目的として、発電した電力を電力会社が一定期間・価格で買い取る仕組みを定めた法律です。当初の制度では、50kW未満の小規模な設備にメンテナンス義務はありませんでした。しかし改正後は、50kW未満の設備についても定期的な保守点検が義務化され、管理責任が明確化されました。
なお、出力50kW以上の設備に関しては、改正FIT法に加えて電気事業法によるメンテナンス義務も適用されるため、さらなる厳格な管理が求められます。この義務化により、太陽光発電の安全性や信頼性が向上し、持続可能なエネルギー利用の基盤が整備されています。
◇メンテナンスと保守点検の違い
太陽光発電における「メンテナンス」と「保守点検」には明確な違いがあります。保守点検は、設備の破損や故障、発電効率の低下がないかを目視や数値測定で定期的に確認する作業を指します。一方、メンテナンスは、太陽光パネルやパワーコンディショナーなどの機器や架台の清掃や部品交換といった作業を含みます。
改正FIT法では「保守点検・維持管理」をまとめて「メンテナンス」と表現しているため、一般的に保守点検もメンテナンスの一部とされています。ただし、具体的な作業内容については法的な規定がないため、専門業者に依頼し、ガイドラインに基づいた点検やメンテナンスを行うことが推奨されます。このような管理により、太陽光発電設備の安全性と効率を維持することが可能です。
メンテナンスや点検が安定運用の鍵!リスク回避に繋がる
画像出典:フォトAC
太陽光発電設備のメンテナンスや保守点検は、法的義務を超えて、経済的なリスクや安全面のリスクを回避するためにも重要です。適切な管理が設備の長寿命と安定した収益を支えます。
◇経済面
太陽光発電設備のメンテナンスは、法的義務だけでなく経済リスクの回避にも重要です。ガラス割れや汚れを放置すると、発電量と売電収入の減少を招きます。
また、点検不足でパワーコンディショナーが故障すると修繕費用や逸失利益が発生します。設備は日光や高温にさらされるため、適切な管理が劣化防止に欠かせません。
定期点検で異常を早期発見すれば、修繕費や収入減少を抑え、設備の健全性と収益性を長期間維持できます。
◇安全面
太陽光発電設備のメンテナンスは、安全面のリスクを減らすために重要です。不十分な点検は、火災やパネルの飛散などの事故につながります。
特に近年の極端な気象条件に対応するため、ボルトの緩みや土壌浸食などの管理が求められます。放置すれば大規模事故の恐れがあります。
定期的な点検で異常を早期発見し、安全性を確保することで、安定した運用が可能になります。
日常点検のチェックリスト!メンテナンスの目安に
太陽光発電設備の各部品の適切な点検やメンテナンスにより、発電効率を維持し、長期的な運用を実現できます。
◇パネルの割れや汚れ
パネルのひび割れや鳥のふんなどの汚れは発電効率に大きな影響を及ぼす可能性があります。ひび割れが深刻な場合は、パネルの交換が必要となり、保証や保険の適用で費用負担を軽減できる場合もあります。
また、パネル表面の汚れは洗浄することで発電能力を回復できますが、施工内容に不安がある場合は複数の専門会社に相談することが推奨されます。
◇ケーブルやコネクターの劣化
ケーブルの損傷やコネクターのショートも重要な問題です。ケーブルの劣化や損傷が進むと、発電した電力を適切に変換・供給できなくなる可能性があります。特に、コネクターがショートした場合は早急な修理や交換が必要です。
このような問題を放置すると、発電効率の低下だけでなく、設備全体に悪影響を及ぼすリスクがあるため、早めの点検と適切な対応が重要です。
◇固定部材の劣化
固定部材は、屋根や架台、パネルを支える重要なパーツで、腐食や緩みが生じると機器の破損や脱落のリスクにつながります。このような固定部材の交換は十数年から数十年単位で必要となる場合があり、点検や修理の際には担当業者に屋根上の確認を依頼することが一般的です。
修理箇所が多い場合は費用がかさむ可能性があるため、具体的な修理内容を事前に確認することが重要です。
◇ヒューズ
パワーコンディショナー内部に設置されているストリングヒューズが切れると、電圧の正常な供給が妨げられ、発電効率が低下することがあります。このような問題は計測器を用いた検査や日常的なデータ記録の確認で早期に発見できます。
異常が見つかった場合には、専門業者に相談のうえ、必要に応じてヒューズを交換することで対応します。適切なメンテナンスを行うことで、これらのトラブルを未然に防ぎ、太陽光発電システムの長期的な運用を可能にすることができます。
セルフメンテナンスには注意点も!リスク回避はプロに相談
太陽光発電システムのセルフメンテナンスでは、感電や高所作業によるリスクを十分に考慮し、安全性を最優先に適切な対応を取ることが重要です。
◇感電する可能性がある
太陽光発電のセルフメンテナンスでは、感電リスクを抑えるため慎重な対応が必要です。作業前には必ず電源を切り、システムの完全停止を確認します。
湿度が高い日は感電リスクが増すため、作業を控え、天候に応じた適切なタイミングを選ぶことが重要です。
知識や経験が不足している場合は、安全確保が困難なため、無理せず専門業者に依頼するのが最も確実な選択肢です。
◇高所作業によるリスク
太陽光発電システムのセルフメンテナンスでは、高所作業のリスクに特に注意が必要です。住宅用パネルは屋根に設置されることが多く、転落の危険性を伴います。
屋根での点検作業には正しい梯子の使い方や安全確保の知識が求められますが、天候や作業者の経験不足によって事故の可能性が高まります。
高所作業のリスクを軽減するためには、専門業者に依頼するのが最も安全で確実です。プロのサポートを得ることで、安全性とメンテナンスの精度が向上します。
太陽光発電設備のメンテナンスは、法的義務化によって安全性と信頼性が向上しました。2017年の改正FIT法により、50kW未満の設備も定期点検が義務化され、管理責任が明確化されています。出力50kW以上の設備は電気事業法も適用され、さらに厳格な管理が必要です。
メンテナンスは主に設備の清掃や部品交換を指し、保守点検は設備の状態確認を行います。これらを適切に実施することで、火災や部材の劣化、発電効率の低下を防ぎます。特に近年の異常気象に対応するため、ボルトの緩みや土壌浸食といった問題の早期発見が求められます。
また、経済的側面でも、ガラス割れや汚れ、ケーブル劣化を放置すると発電量の減少や修繕費用が発生します。日常点検を徹底し異常を早期発見することで、設備の健全性と収益性を維持できます。
セルフメンテナンス時には感電や高所作業のリスクがあり、作業前に電源を切り天候を確認することが重要です。安全確保が難しい場合は、専門業者に依頼することでリスクを回避し、作業の精度を高めることが推奨されます。