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太陽光発電の設置前に知っておきたい売電手続きとFIT後の売電事情

太陽光発電の設置前に知っておきたい売電手続きとFIT後の売電事情
引用元:photo AC

太陽光発電の売電制度には全量買取制度と余剰買取制度があり、前者は法人向けに全ての電力を売電し、後者は家庭が自家消費後の余剰電力を売却します。売電には申請が必要で、卒FIT後は売電価格が低下し自家消費が優先されますが、設置費用の減少により導入は依然として魅力的です。

太陽光発電の売電について理解しよう

太陽光発電の全量買取制度は発電した電力をすべて売電し、余剰買取制度は自家消費後の余った電力を売電します。

◇太陽光発電の売電とは

太陽光発電による「売電」とは、自宅で発電した余剰電力を電力会社に買い取ってもらう仕組みです。基本的に、発電した電力は自家消費されますが、消費しきれない余剰電力は電力会社に売却することが可能です。売電を行うためには、所定の手続きが必要で、これにより売電収入が得られ、経済効果を最大化できます。

売電制度は「FIT制度」と「FIP制度」に基づいています。FIT制度では、売電価格が一定期間固定されており、導入時の価格で売電が可能です。FIP制度も類似の仕組みで、これら制度に基づくことで、安定した売電収入が得られます。

◇全量買取制度と余剰買取制度

全量買取制度では、発電した電力をすべて電力会社に売電します。これは主に50kW以上の発電容量を持つ法人向けで、電力はすべて売り、自分が使う電気は別途電力会社から購入する必要があります。この制度は20年間継続され、安定した売電が可能です。

一方、余剰買取制度は、まず自宅で発電した電力を自家消費し、余った分だけを売電します。これは一般家庭や50kW未満の法人に適用され、住宅用の場合は10年間、産業用では20年間売電が可能です。余剰買取では自家消費が優先されるため、節電が利益を増やす鍵となります。

売電の為に必要な手続きと注意点

引用元:photo AC

太陽光発電の売電を開始するには、まず現地調査や発電量のシミュレーション、見積もりを行い、計画を立てる必要があります。その後、電力会社への系統連系申請と経済産業省への事業計画認定申請が必要です。売電収入が年間20万円を超える場合、確定申告も求められます。

◇売電を開始するには申請が必要

岐阜県で太陽光発電システムの売電を開始するためには、申請手続きの前に重要な準備段階があります。この段階では、設置の可否やシステムの設計、見積もりなどを行い、具体的な計画を立てます。

まず、現地調査が必要です。家の屋根や敷地の条件がシステムの設置に適しているかを確認し、希望する発電容量を設置できるかどうかを調べます。屋根の形状や面積、方角、日当たりなどが重要な要素で、この調査には2週間から1か月かかることがあります。

次に、発電量のシミュレーションや設置プランを作成します。どれくらいの発電が期待できるか、またどのような設備を使用するかを決定し、併せて売電収入の予測も確認します。この段階で将来的な費用対効果も評価されます。

続いて、見積書の確認と支払い計画です。業者から提示された見積書を確認し、予算や支払い計画を立てます。また、利用可能な補助金の確認と申請準備も進めます。この作業には2週間から1か月が必要で、業者によっては補助金申請を代行してくれる場合もあります。

◇系統連系申請

太陽光発電システムで発電した電気を電力会社に送電し、売電を開始するためには、「系統連系申請」が必要です。この申請は、電力会社に対して行われ、電力会社が発電した電気を送電するための準備が整っているかどうかを確認します。系統連系申請が認定されれば、発電した電気を送電線に接続し、売電が可能になります。

申請には、申請書や設置場所の地図、その他必要な書類を準備し、オンラインで提出します。申請が完了してから認定されるまでには、通常1カ月から数カ月程度かかります。この期間中に電力会社が送電の可否を検討し、問題がなければ売電が開始されます。売電がスタートすると、売電収入は毎月振り込まれ、通常の電気料金の支払いとは別に受け取ることが可能です。

◇事業計画認定申請

太陽光発電でFIT制度を利用するためには、経済産業省に「事業計画認定申請」を行う必要があります。この申請では、太陽光発電システムがFIT法に適合しているか確認を受けることが目的です。

申請に必要な書類として、登記簿謄本、建物所有者の同意書、太陽光発電システムのレイアウトや配線図などがあります。また、代理申請を依頼する場合には委任状や印鑑証明も必要です。認定には1カ月から半年程度かかることがあります。

事業計画認定申請は、系統連系申請とは別に進めなければならず、書類の不備があるとさらに時間がかかるため、事前の準備が重要です。

◇年間20万円を超えると確定申告が必要

給与所得者が自宅に10kW未満の太陽光発電を設置し、売電収入を得た場合、年間の所得が20万円を超えると確定申告が必要です。具体的には、売電収入から必要経費を差し引いた金額が雑所得として扱われます。

売電収入が20万円未満でも、他の雑所得と合計して20万円を超える場合には、確定申告が必要です。このため、売電収入以外の所得も含めて、年間の総所得額を確認し、適切に申告することが大切です。

卒FITとは?設置から11年後の売電はどうなる?

FIT制度は再生可能エネルギーの固定価格買取制度で、太陽光発電の売電が10年間保証されます。しかし、期間終了後(卒FIT)には売電価格が大幅に下がり、再エネ賦課金が適用されなくなります。卒FIT後は自家消費が必須となり、余剰電力のみが売電対象となります。

◇FIT制度は10年で終了する

FIT制度(固定価格買取制度)は、再生可能エネルギーで発電した電気を電力会社が一定期間・固定価格で買い取る制度で、主に家庭用の太陽光発電システムに適用されています。太陽光発電システムのうち、発電容量が10kW未満のものは、FIT制度により設備導入から10年間、固定価格での売電が保証されます。

しかし、この期間が終了すると固定価格での売電ができなくなり、これを「卒FIT」と呼びます。FIT制度は2009年に始まり、2012年から本格的に導入されましたが、2019年11月から順次買取期間が終了しています。

初期に制度を利用して太陽光発電を導入した方々は、今後この卒FITに直面し、新たな売電方法や自家消費への切り替えを検討する必要があります。

◇11年後以降も売電は可能だが価格は下がる

卒FITを迎えると、太陽光発電の売電価格は大幅に下がります。FIT制度適用中は、電気の買い取りに再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)が使用され、売電価格が高く設定されています。

再エネ賦課金は、電力会社が再生可能エネルギー由来の電力を買い取る際の費用をカバーするため、電気を使用する家庭や企業が電気料金に上乗せして支払っています。しかし、卒FIT後はこの賦課金が適用されなくなるため、売電価格が低下します。

太陽光発電は、1kWhあたりの価格で電力会社に買い取ってもらう仕組みですが、FIT制度の期間中は、導入時の価格が10年間固定されます。卒FIT後は、さまざまな売電先(大手電力会社や新電力会社など)が選択できるものの、全ての電力を売電できるわけではありません。

具体的には、発電した電力の30%以上は自家消費しなければならず、70%以下の余剰電力のみが売電対象となります。

売電収入が下がっても太陽光発電はお得

太陽光発電の売電価格は、2012年度の42円から2024年度には16円に低下しています。この背景には、設置費用の減少や再生可能エネルギーの普及があります。売電収入は減少していますが、初期投資が抑えられ、電気代の高騰により自家消費のメリットが増加。蓄電池を併用することで、夜間の電力消費も削減でき、停電対策としても効果的です。

◇売電価格は過去と比べて低下傾向

太陽光発電の売電価格は、過去10年間で大きく低下しています。FIT制度に基づく売電価格は、太陽光発電の出力や設置年度によって異なりますが、住宅用の10kW未満の出力では、2012年度の売電単価が1kWhあたり42円であったのに対し、2024年度には16円にまで下がっています。

このように、10年間で半分以下になっていることからも、売電価格の低下傾向が顕著に表れています。

この売電価格の低下は、再生可能エネルギーの普及に伴うもので、FIT適用時の買取価格は年々減少しています。背景には、太陽光発電の設置費用が着実に下がっていることがあります。設置費用が減少することで、より多くの家庭や企業が導入しやすくなり、結果的に売電価格が下がるという流れが生まれています。

具体的なデータを見てみると、2012年度から2024年度にかけての買取価格は、2012年度の42円から2024年度の16円まで減少しており、特に2022年度以降は16円が固定される見込みです。これは太陽光発電業界が成長期から成熟期へ移行していることを示唆しています。

◇売電収入を上げるポイント

まず発電効率の高いソーラーパネルを選び、できるだけ多くの面積に設置することが基本です。住宅の立地や屋根の形状、材料を考慮し、太陽光が最大限当たるような設計を心掛けましょう。この際、専門家に相談することで、最適な配置が得られる可能性が高まります。

次に、定期的なメンテナンスを行うことが不可欠です。経年劣化や汚れ、落ち葉などの影響で発電量が低下することがあります。そのため、専門業者による清掃や点検を定期的に依頼し、常に最良の状態を保つように心掛けると良いでしょう。

すでに太陽光発電を導入している方は、自家消費量を抑えることも売電収入を増やすための一手です。自宅での電気消費を減らし、余剰電力を増やすことで、売電収入の向上につながります。具体的には、照明をLEDに変更したり、エアコンの温度設定を見直したりといった省エネ対策を取り入れることが効果的です。

◇売電価格低下でも設置増加!太陽光発電がお得な理由

太陽光発電の導入は、売電価格が低下しているにもかかわらず依然として魅力的です。まず、余剰電力を売る収入は減少していますが、設備導入費用も下がり、初期投資を抑えつつ発電システムを設置できるようになっています。これにより、導入のハードルが下がっています。

また、最近の電気料金の高騰により、家庭用電気料金が1kWhあたり31円となっています。太陽光発電で生成した電気を自家消費することで、毎月の電気代を大幅に削減できます。さらに、再生可能エネルギー賦課金が高騰しているため、電力会社からの買電量を減少させることも重要です。

また蓄電池を併用すれば、自家消費の比率を高め、昼間に発電した電気を夜間に使うことができ、電力会社からの買電を減少させます。さらに、太陽光発電は災害時の停電対策にも有効です。


太陽光発電の売電制度には、全量買取制度と余剰買取制度があります。全量買取制度では発電した電力を全て売電し、主に法人向けです。余剰買取制度は、自家消費後の余剰電力を家庭が売電する仕組みです。これにより、発電した電力を電力会社に売却し、収入を得ることができます。

売電を開始するには、現地調査や発電量シミュレーション、系統連系申請、事業計画認定申請が必要です。卒FIT後は売電価格が大幅に下がり、自家消費が優先されます。売電価格は2012年度の42円から2024年度には16円に低下する見込みですが、設置費用の減少により太陽光発電の導入は依然として魅力的です。