災害対策としての太陽光発電と蓄電池!停電時でも電気を使う方法
災害時や停電時に備えた対策として、太陽光発電と蓄電池の組み合わせが注目されています。特に停電が発生した際、太陽光発電があれば日中の晴天時に電力を確保でき、蓄電池を併用することで夜間や悪天候時にも電気を利用することが可能です。
停電が長引く場合でも、冷蔵庫やスマートフォンの充電など、最低限の電力を確保できるため、生活の安定を保つための有効な手段です。
目次
災害時や停電時に太陽光発電は役に立つ?
災害時や停電時、電力の供給が途絶えると、私たちの日常生活は大きな影響を受けます。そんな状況で注目されるのが太陽光発電です。太陽光発電システムがあれば、停電中でも電力を確保できるため、非常時に役立つ可能性があります。
◇災害時は停電が発生しやすい
災害が発生すると、送電線や発電設備が損傷することで広範囲にわたって停電が起こりやすくなります。特に地震や台風が頻発する日本では、停電は避けられないリスクのひとつです。
例えば、2019年に台風15号が岐阜県を含む広い地域で猛威を振るい、大規模な停電が発生しました。このような場合、復旧まで数日から数週間かかることもあり、電力供給が途絶えることで生活に深刻な影響が及びます。
停電時には、冷蔵庫や照明、通信機器の電源が途絶え、日常生活が困難になります。さらに、停電が長期化すれば、医療機器を必要とする方々にとっては命の危機にもつながることがあり、停電のリスクを軽減するための準備が必要不可欠です。
◇停電時でも電気が使用できる
しかし、太陽光発電システムを設置している家庭では、停電時でも電気を利用できる可能性があります。日中、晴れているときには太陽光によって発電が続くため、エネルギー供給が途絶えた場合でも、基本的な電力を確保することができるのです。
特に災害時、スマートフォンの充電やラジオなどの情報収集手段の確保が命を守る重要な手段となります。ただし、太陽光発電システムだけでは夜間や悪天候時に電力供給が不安定になる場合があります。
そこで、蓄電池を併用することで、夜間でも電気を利用できるようになり、電力を安定的に確保することが可能です。蓄電池に蓄えた電気は、太陽光発電で賄えない時間帯に役立ち、災害時の電力不足を補います。このような設備を導入しておくことで、停電時でも安心して生活を続けられるでしょう。
停電時に太陽光発電の電気を使う方法
画像出典:フォトAC
停電時に太陽光発電の電気を活用するには、いくつかの準備と操作が必要です。通常、停電が起きると自動的に太陽光発電システムも停止しますが、適切な手順を踏めば発電した電力を利用することが可能です。
◇ブレーカーを切る
停電時に太陽光発電の電力を使うためには、まず最初に「ブレーカーを切る」ことが重要です。停電後に電力が復旧した際、万が一、電化製品が一斉に作動すると過電流が発生し、火災や電化製品の故障などの危険が伴います。
そのため、安全確保のために主電源ブレーカーを必ず切りましょう。また、太陽光発電専用のブレーカーも切ることが大切です。ブレーカーの位置は自宅内や分電盤に設置されていることが多く、事前に確認しておくとスムーズに対応できます。説明書に記載されている内容も確認し、適切な手順で進めましょう。
◇パワーコンディショナの切り替え
次に行うべきは「パワーコンディショナの切り替え」です。太陽光発電システムは通常、電力会社との連系運転モードで運用されていますが、停電時に電気を使用するためには、この運転モードを「自立運転モード」に切り替える必要があります。
自立運転モードは太陽光で発電した電力を直接利用する機能です。切り替え方法は機器やメーカーによって異なるため、必ず取り扱い説明書を参考にしてください。多くの場合、パワーコンディショナのスイッチをオフにした後、再度オンにするという手順が必要となります。スムーズな操作のため、事前の準備が大切です。
◇コンセント位置の確認
最後に、「自立運転用コンセントの位置確認」を行います。自立運転モードに切り替えると、普段使用しているコンセントからは電気が供給されません。電気を使用するには、専用の「自立運転用コンセント」から電力を供給する必要があります。
このコンセントの位置は、一般的に分電盤の近くやパワーコンディショナの側面に設置されています。停電時に慌てないよう、事前にこのコンセントの位置を確認しておくことが重要です。自立運転用コンセントが遠い場合は延長コードの用意をしておくと、よりスムーズに対応できるでしょう。
災害時の備えとしての太陽光発電活用の注意点
災害時に備え、太陽光発電は非常に役立つ電源として注目されていますが、天候や時間帯によって発電量が左右されるため、電力の使い方にも工夫が必要です。
◇夜間の停電時は活用できない
太陽光発電は昼間に太陽光を利用して発電するため、夜間の停電時にはそのままでは電気を使用することができません。岐阜県など災害リスクの高い地域では、夜間に電気が使えないことが、災害時の大きな課題となります。
たとえば、夜間に冷蔵庫や照明を使えないと、食品が傷んだり、避難生活において安全確保が困難になるケースがあるため、昼間だけでなく夜間の電力供給をどう確保するかが重要です。
◇一度に使用できる電力に制限がある
太陽光発電のもうひとつの注意点として、一度に使用できる電力量には制限があることが挙げられます。一般的に、災害時に自立運転モードで使用できる最大電力は1,500W程度です。
これは、たとえば冷蔵庫(約250W)や照明、携帯電話の充電(数W)など、比較的消費電力が低い電化製品を同時に使用する分には問題ありませんが、高消費電力の家電製品、例えば電子レンジやエアコンなどを使うと、あっという間に上限に達してしまいます。
さらに、一度に使用できる家電が限られているため、災害時にはどの家電を優先して使用するかを考える必要があります。
夜間の電力確保には蓄電池がおすすめ
蓄電池があれば、日中に発電した電力を蓄えておき、夜間や電力が必要なタイミングで使用することが可能です。これにより、停電中でも安定した電力を確保できるため、災害時の備えとしても注目されています。
◇蓄電池があれば夜間の電力使用も可能
太陽光発電は日中の発電に依存しているため、夜間に電気を使用するには限界がありますが、蓄電池を併用することで、その課題を解消することが可能です。昼間に発電した電力を蓄電池に貯めておけば、夜間でもその電力を活用できるため、停電時にも生活に大きな支障が出ることを防ぐことができます。
特に災害時には、電力供給の安定性が重要であり、蓄電池があれば、夜間でも冷蔵庫や照明、スマートフォンの充電といった最低限の電力を確保できるため、災害リスクの高い地域、例えば岐阜県のような場所では、非常に頼りになる対策となるでしょう。
また、蓄電池を導入することで、平常時でも電気料金の削減が見込め、災害時以外にも多くのメリットがあります。
◇2つの負荷タイプ
蓄電池の電力供給方式には、「全負荷型」と「特定負荷型」の2つのタイプがあります。それぞれの特徴をしっかりと理解し、自身のニーズに合った選択をすることが大切です。
「全負荷型」は、家全体に電気を供給できるタイプで、停電時でも通常通り家中の電力を使用することが可能です。ただし、初期費用が高額になるため、高い災害対策を求める家庭向けの選択肢と言えるでしょう。
一方、「特定負荷型」は、特定の回路にのみ電力を供給するタイプです。例えば、冷蔵庫や照明といった優先度の高い家電に限定して電力供給を行うことができます。こちらはコストが比較的抑えられるため、予算と必要性に応じて選択することが推奨されます。
太陽光発電は、災害時や停電時に役立つ電力供給手段として注目されています。停電時でも、晴天の日中に発電された電力を使い、スマートフォンの充電や照明を確保できます。
ただし、夜間や悪天候時は電力供給が難しく、蓄電池を併用することで、発電した電力を蓄えて使用できるようになります。災害時には、電力使用量に制限があるため、家電の優先順位を考慮する必要があります。
また、蓄電池には家全体に電力を供給する「全負荷型」と、特定の家電に供給する「特定負荷型」があり、それぞれの特徴を理解して選択することが重要です。